ワールドカップロシア大会総括

今回ロシアで開催されたワールドカップは強豪が苦戦する一方で新顔が躍進し、新たなスターも誕生した、見る側にとっては非常にエキサイティングなものになった。


ということで今回はロシアワールドカップ全体に言えること、各国の評価、個人的各賞などについて書いてみたいと思う。


まず大会全体を通して言えることは、今大会はポゼッションサッカーの死亡証明であることだろう。前回大会王者のドイツは大会前は敵なしとして優勝候補最有力とされていたが、ポゼッションを取りながらも決定力に欠き、メキシコやスウェーデンのすばやいカウンターを受けてあえなく一次リーグで沈んでいった。

前回大会王者は翌大会では一次リーグ敗退になるというジンクスがよく出てくるが、これはある程度当然の結果として生まれあるジンクスだと思う。思い返せば2010年の南アフリカ大会で優勝したスペインは細かいパスを精密機械のように繋ぎながら試合を支配する”ティキタカ”で一世を風靡したが、翌ブラジル大会ではオランダのステーションスキップとチリの数をかけたカウンターの前に一次リーグ敗退となった。

チリの方に関してはわからないが、オランダのステーションスキップはティキタカの司令塔シャビがいる中盤を一気に通り越して前線にパスを送って、決定力のあるロッベンファン・ペルシーに決めさせるという、スペインのサッカーを研究した結果の戦略であった。

今回もブラジル大会で優勝したドイツはポゼッションを維持しつつ攻守に数をかけるハードワークサッカーを展開したが、攻撃に数をかけたところで引いて守る側にボールを奪われ、カウンターをくらったのだ。ドイツにクローゼのような決定的な仕事をするストライカーがいなかったことも考慮するべきではあるが、今回もドイツ始めアルゼンチン、スペイン、ブラジルといった強豪国はどこも堅守速攻カウンターサッカーに苦しみ敗退していった一方で、ポゼッションを捨ててでもカウンターを展開したフランスが優勝している。従って、今大会はポゼッションサッカー支配の終焉と言えるだろう。